チューン・O・マチックについてのお話

エレキギターのブリッジとして、フェンダーのシンクロナイズド・トレモロと並んで有名なのが、ギブソンのレス・ポールなどに搭載されているチューン・O・マチック(以下T.O.M.)です。
これは、弦を乗せるブリッジ部分と、弦を固定するテイルピース部分とに分かれていて、共に2点止めでギターのボディに取り付ける構造となっています。

BURNY ( バーニー ) / RLG-55 2009 Vintage Lemon Drop

ABR-1とナッシュビル

T.O.M.のブリッジは大きく分けてABR-1とナッシュビルという2種類に分かれていて、レス・ポールではABR-1が初期タイプでナッシュビルが改良タイプという位置付けになっています。(厳密にはレス・ポールの最初期はT.O.M.ではなく、トラピーズタイプやストップテイルピース(スタッド・ブリッジ)タイプが採用されていました。)
ナッシュビルは、名前通りにギブソンのナッシュビル工場が稼働してから生産されるようになったもので、それ以前のカラマズー工場時代はABR-1が作られていました。

ARB-1タイプ

TONEPROS ( トーンプロズ ) / AVR2-N
TONEPROS ( トーンプロズ ) / AVR2-N

ナッシュビルタイプ

ALLPARTS JAPAN ( オールパーツジャパン ) / NASHVILLE BRIDGE SET CR
ALLPARTS JAPAN ( オールパーツジャパン ) / NASHVILLE BRIDGE SET CR

この2つがどう違うのかと言うと、まずはボディへの取付方法が異なります。
ABR-1は支柱を直接ボディにねじ込む方式であるのに対し、ナッシュビルはボディにアンカーを打ち込んで、そこに支柱を取り付けてあります。
また、見た目的にも若干の違いがあって、ABR-1の方が少しゴテッとした感じ。
もうちょっと細かく言うと、実はABR-1にも前期型と後期型の2種類があって、後期型にはコマ落ち防止用のリテナー・スプリングが取り付けてあるので、見た目がよりゴツイ感じになっていますね。
ナッシュビルは改良タイプだけあって、見た目的にもスッキリしていますし、オクターブ調整の範囲もABR-1より大きくなっています。
基本的に現行のギブソン・レス・ポールには、ナッシュビルタイプが使われていますが、昔のモデルを復刻したものにはABR-1が使われています。

弦高調整は、ABR-1はブリッジを支えている2本の支柱に付いているサムナットを回して行います。
ナッシュビルの方は支柱自体が回転する構造になっていて、それを回して高さを調整します。
どちらのタイプも支柱部分でしか高さを調整できないので、弦ごとの調整は出来ません。

インチ規格とミリ規格に注意

もしT.O.M.を別のタイプのものに交換(ABR-1→ナッシュビル又はその逆)にしようと言う場合は、少々注意が必要です。
まずUSA製レス・ポールの場合は、寸法規格がインチ規格であるのに対し、日本製やアジア圏で生産されたレス・ポールタイプはミリ規格で作られています。
このインチとミリの違いは、何もブリッジに限った話ではなく、ギターのパーツ全体に言える話なのですが、とにかくここが違うと簡単に交換することが出来ないか、出来てもガタついたりします。
ミリ規格のギターの場合はメーカーが違っても比較的寸法が共通している事が多いのですが、インチ規格でもギブソンのブリッジの場合はちょっとやっかいで、生産された時期によって各部の寸法が微妙に違っていたりします。
なので、ブリッジの交換を考えるときは、現状のサイズをしっかりと把握して、新しいパーツに簡単に交換できるかできるかどうかをしっかり確認しておくことが必要です。

調整時の注意点

また、T.O.M.の弦高調整部分は、弦を張っていない状態だと簡単にクルクル回ってしまうため、ちょっと油断すると弦を張り替えたら弦高が変わってしまったという事が起こりやすい。
このため、最近ではロック式のブリッジが人気を集めているようです。
レス・ポールも、近年のモデルは標準でロック式になっているものが多くなってきていますね。

オクターブ調整は各弦ごとに調整可能ですが、調整ネジがブリッジ側面にある為、弦を張ったままだとかなり回しにくい。
というか、無理をすると弦を傷つけたりするので、オクターブ調整は弦を緩めて行うのが基本となります。
ですが、音の確認をする為にはその都度弦を張らないといけないので、結果的に時間がかかってしまい、それが欠点と言えば欠点かも知れません。

サドルは交換できるが技術力が必要

他には、ブリッジのサドル(コマ)の材質によって音質や使い勝手が変わってきます。
スチール(鉄)製やブラス(真鍮)製のものが標準で使用されることが多いですが、交換用サドルとしては以下の素材のものが人気があります。

・テフロン加工タイプ・・・弦との摩擦係数を減らすことで、弦が切れにくくなっています。
・チタン・・・軽量で丈夫。サスティーンの伸びが良く、倍音も豊かになると言われています。
・TUSQ・・・人口象牙。柔らかい響きになります。
・ナイロン・・・60年代には一時ギブソンの標準仕様だったこともあります。音の金属感を減らしたい方にはオススメ。

なお、ブリッジ本体はそのままでサドルのみを交換することは可能ですが、少々技術力が必要になります。
出来れば、リペアショップで交換してもらうか、ブリッジごと交換する方が無難と言えるでしょう。
ビグスビーなどのトレモロユニットを装着する場合は、通常のT.O.M.だとチューニングが狂いやすいので、サドル部分がローラーになったものに交換することも多いですね。

テイルピースの高さでも音が変わる

ここまではブリッジ部分の事を中心にしてきましたが、もちろんテイルピース部分だって奥が深い。
テイルピースは2つの支柱に引っ掛けて固定する構造になっていますが、この支柱は回して高さを変えることが出来ます。
支柱の高さを変える→テイルピースの高さが変わる→テイルピースとブリッジの高さ関係が変わる→サドル部分の弦が曲がる角度が変わる、ということになります。

GOTOH ( ゴトー ) / GE101Z N
GOTOH ( ゴトー ) / GE101Z N

これにより、弦がサドルに押し付けられる力の向きや大きさが変化するので、演奏した時に弦のテンションが変化したように感じられると言われています。
正確には、弦のテンションが変わるという表現をしてしまうと、音程が変わるという意味も含んでしまいますので、テンション自体には変化はないものの、サドルと弦との摩擦係数が変わるので、弾いたときに少し感触が変わるのだと思います。(さらに厳密に言うと、ナット~ブリッジ間のテンションに変化はありませんが、ブリッジ~テイルピース間のテンションは変化していると思います。)

また、弦とサドルの摩擦係数が変わるという事は、ボディへの振動の伝わり方が変わることも考えられます。
ボディの振動が変わると倍音の加わり方などが変化して、結果的に音質が変わる可能性があり、実際に変わったと言う意見の人も少なくありません。
まあ、この辺りの調整は好みによるところが大きいので、実際に自分で調整しながらベストなポジションを見つけるのが良いでしょうね。

テイルピースの素材

さらに、テイルピースは素材によっても音質が変化するパーツだと言われています。
通常は亜鉛合金製のものが使われているのですが、これをアルミ製に変えると良いと言われることが多いですね。

ALLPARTS JAPAN ( オールパーツジャパン ) / Aluminium LP Tail Set Nickel
ALLPARTS JAPAN ( オールパーツジャパン ) / Aluminium LP Tail Set Nickel

これは、T.O.M.初期のレス・ポールがアルミ製のテイルピースだった影響が大きいようです。
なので、ヴィンテージサウンドを再現するならアルミ製のテイルピースという事になります。
テイルピースは弦を張り替えるときに簡単に交換できるので、気分によって変えてみるというのもアリですね!

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