フェンダーとの独占契約で一世を風靡したレースセンサー

超ローノイズなパッシブPU

レースセンサーは、1987年から1996年にかけてフェンダーの一部モデルに搭載されていたことで有名なピックアップですが、厳密に言うと、レースセンサーというのは商品名で、製造しているのはAGI (Actodyne General International) 社という会社の一部門であるレース・ミュージック・プロダクツというところになります。
AGI社は、1979年にドン・レース氏によって興され、設立当初は電磁弁(電気のON/OFFによって開閉する弁)を製造していたようですが、ドン・レース氏がスピーカーの技術にも明るい人物で、楽器業界と繋がりがあったことや、電磁弁とギターのピックアップが構造的に似ていることなどから、ピックアップの製造に乗り出したようですね。
そして1985年に発売されたレースセンサーは、パッシブ・ピックアップでありながら驚異の低ノイズを実現させたことでフェンダーとの独占契約を勝ち取ることに成功し、一世を風靡することになります。

LACE ( レース ) / Lace Sensor Gold/White Cover

レースセンサーは、バータイプの磁力の低いゴム磁石を使用し、コイルの周りをフェンダーのジャガーに採用されているヨークに似た金属製のバリアで囲うことで磁力線を集中させてノイズを最小限に留めています。
最も代表的なモデルであるGoldは、エリック・クラプトンのシグネチャーモデルや、American Standardシリーズに採用されるなどしており、一時期はフェンダーの主力PUとして重宝されていました。
しかし、96年に独占契約が切れたあとは、フェンダーが自社開発のノイズレスPUに移行したために、急速にその存在感を失ってしまいます。
とはいえ、レースセンサーは通常のシングルコイルPUとは一味違ったまとまりの良い音色を持っており、その扱いやすさから今でも愛好者が多数存在しています。
また、シングルのレースセンサーを2つ並べたハムバッカータイプの「Dually」や、ハムバッカーでありながらシングルコイルような高音域を持つ「Hemi」、アルミの外装を使用し、銅線の使用量をなんと90%も減らして驚異のローノイズ性を実現した「Alumitone」など、とても興味深いラインナップを取り揃えています。
ここではその一部をご紹介してみますね。

レースの代表的モデル

・Lace Sensor Gold

LACE ( レース ) / Lace Sensor Gold/White Cover

レースセンサーの代表的モデル。
ヴィンテージサウンドとローノイズを両立させたこのPUは、かのエリック・クラプトンをも魅了しました。
ストラトらしい枯れた音をしっかりと出せており、ブルースのような音楽にもフィットするので人気が高いPUですね。
余談ですが、旧エリック・クラプトンモデルのストラトなどにはミッド・ブースト回路が搭載されていて、そこにレースセンサーが乗せられていた時期がありました。
ミッド・ブースト回路用に9V電池を使用するために、同様に9V電池を使うEMGなどのアクティブPUと混同されてしまい、レースセンサーはアクティブPUだといわれることがあるのですが、実際にはレースセンサーは電池なしで単体で使用してもちゃんと駆動するPUですので、パッシブPUとするのが正解です。
(注:ミッド・ブースト回路付きのギターは、ミッド・ブースト回路経由で音を出すため、ブーストの使用・不使用に関わらず、電池がないと音が出ない構造になっています。このため電池がないと駆動しないPUと勘違いされ、余計にアクティブPUと間違われやすいようですね。)

・Hemi Humbucker

LACE ( レース ) / Hemi Humbucker Bridge Black Nickel

ヴィンテージ・ハムバッカーとシングルコイル・トーンを融合させたレースの自信作。
フロント用モデルはオールラウンダータイプで、リア用モデルはフロント用より出力を上げて太い中域と伸びのある高域を特性としています。

・Dually Lace Sensor Gold/Gold

LACE ( レース ) / Dually Lace Sensor Gold/Gold White

レースセンサー・ゴールドを2つ並べたハムバッカータイプ。
1990年代のジェフ・ベックモデルにも搭載されていたことから、これもやはり人気の高いモデルです。
ところで今、ハムバッカータイプと書きましたが、正しく言えばこれはハムバッカーではありません。(笑)
一般的なハムバッカーは2つのコイルの巻き方向を逆にしてノイズを打消しあうようにしているのですが、このDuallyは同じコイル巻き方向のシングルを2つ繋げた構造になっているのです。
元々低ノイズなPUであり、わざわざハムバッキング構造にしてノイズを消す必要はないので、このような構造になっているのですが、当然ながら一般的なハムバッカーの音とはキャラクターが異なり、シングルよりも音に厚みがありつつも、シングルらしいカラッとした音色となります。
ミニスイッチなどを増設して、シングルとデュアルを切り替えられるように配線することも可能ですので、SSH配列のギターですと実質的に3S配列も兼ねることも可能。
このGold/Goldだけでなく、Blue/Goldなど出力の異なるPUとの組み合わせも販売されていますので、非常に多彩な音が楽しめるシリーズとなっています。

・Alumitoneシリーズ

LACE ( レース ) / Alumitone Deathbucker Gold

従来のパッシブ・ピックアップとは大きく構造が異なり、圧倒的なローノイズとクリアな音質を実現したモデルで、新世代のPUと言えるかもしれません。
パッと見た目にはアルミの板がコの字に曲げてあるだけのように見えますが、なんでも弦が振動することでアルミ板に発生する渦電流を利用して音を出すとかいう原理のようで、細かいことは企業秘密なんだそうです。
ハムバッカータイプとシングルコイルタイプの両方がありますが、シングルコイルタイプは通常のシングルと少し形が違うので注意が必要。
通常のシングルでは両端が丸くなっていますが、アルミトーンは四角く角張っているので、ピックガードの穴をヤスリなどをつかって広げる必要があります。
それほど難しい加工ではありませんが、ピックガードが割れる可能性も無くは無いので、加工に自信がない方はリペアショップに依頼するか、手先が器用な人にやってもらった方が良いかもしれませんね。
クリアでローノイズなサウンドやルックス面の特徴から、メタル向けにチューンされたAlumitone Deathbuckerの人気が高くなっていますね。


以上が、レースの主なモデルですが、基本的にはローノイズが特徴のブランドと言えるでしょう。
ストラトなどのトラディショナルなタイプのギターは、電池を収めるスペースがないなどの理由でアクティブPUとの相性があまり良くないのですが、レースは電池が不要のパッシブPUなので、ボディのザグリ加工などをせずともストラトに載せられるという大きなメリットがあります。
クラプトンやジェフ・ベックのような大御所も使用していたブランドで実績があって安心感も高いですから、ノイズが多くて困るという方は、一度試してみてはいかがでしょうか。

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