ギタリストなら知っておきたいギブソンP.A.F.の基礎知識

発明者はセス・ラバー氏

ギブソンのピックアップと言うと、やっぱりP.A.F.です。
セス・ラバー氏によって発明されたP.A.F.ですが、このP.A.F.という呼び名は発売当時にPATENT APPLIED FOR(特許出願中)と書いたシールがピックアップの裏面に貼ってあったことからついた通称で、正式名称はP-490と言います。
1957年-1960年に製造されたレス・ポールは、”サンバースト・レス・ポール”,”バースト”などと呼ばれてとてつもないプレミアが付いているのですが、そこに搭載されていたP.A.F.も一緒に伝説化していますね。
なお、基本的にP.A.F.(パフ)という呼び方が一般的で、むしろP-490という正式名称はあまり使われなかったりします。(笑)

↓これは現行のP.A.F.レプリカの一つであるバーストバッカー。
GIBSON ( ギブソン ) / BURST BUCKER TYPE1 GOLD

GIBSON ( ギブソン ) / BURST BUCKER TYPE1 GOLD

伝説化したP.A.F.

ここで、一つの疑問があるのですが、現在製造されているP.A.F.系のハムバッカー(ハムバッカーの構造については、当サイト内の記事「ピックアップの種類について」を参考にして下さい)は、なぜどれも「P.A.F.レプリカ」と呼ばれているのでしょうか。
オリジナルの製造元であるギブソン社以外のメーカーの製品がP.A.F.を名乗れないのはわかりますが、ギブソン自身もP.A.F.(つまりP-490)そのものの製造販売はおこなっていないのです。

これにはいくつか理由があると思いますが、一番の理由は「P.A.F.という名前が伝説化している」ことなんじゃないでしょうか。
元々、発売された当初のオリジナルP.A.F.は、磁石の仕様やコイルの巻き数が一定していないなど、品質の安定性と言う意味ではイマイチな面がありました。
このため個体ごとに音が異なり、そもそもP.A.F.の音と言うものが、きちんと定義されていません。
さらに、現存しているオリジナルP.A.F.は、樹脂やせなどの経年変化によって、製造時とはだいぶ音が変わっています。
つまり、もし仮に今、発売当時と全く同じ材料を使って、同じ構造のものを作ったとしても、オリジナルP.A.F.とは同じ音にならないのです。

まあ、それでも普通の工業製品ならば、「基本的に同仕様なので、同じ製品です。」と言って売れるのですが、ことピックアップに限っては、音に関することなので、その説明ではユーザーに受け入れられないでしょう。
ギブソン的には、同じ仕様のものを作っても「これはP.A.F.じゃねぇ!」と言われるので、無理にP-490という型番を付ける意味もないことになります。
結局P.A.F.というのは、名前が大きすぎるんですね。

生産時期によるP.A.F.の違い

ところで、一口にP.A.F.と言っても、生産された時期によっていくつかの種類にわかれます。
代表的な分類としては、

  • 1956年-1957年頃 ラップスティールギターに搭載。裏面にはステッカー無し。
  • 1957年-1960年頃 いわゆるオリジナルP.A.F.。レス・ポールなどのエレキギターに採用され、裏面にP.A.F.のステッカーが貼られています。(ただし磁石がアルニコ2/3/4/5と統一されていない。コイルのターン数もバラついている。)
  • 1961年-1962年頃 後期オリジナルP.A.F.。レス・ポール生産中止及びSGへの移行に伴う生産体制の見直しによりP.A.F.の品質が安定化。磁石はアルニコ5に統一される。
  • 1962年-1966年頃 いわゆるステッカーナンバードP.A.F.。裏面に特許番号を記したステッカーが貼られています。特許番号は2737842と記載されていて、これはP.A.F.のものではなくトラピーズ・テイルピースの特許番号でした。本当の特許番号は2896491。1966年にはワイヤー巻き機が自動化されて、さらに品質が安定しています。ちなみに特許の権利期間は1979年に終了しています。
  • 1967年-1974年頃 これもステッカーナンバードP.A.F。レス・ポールの復活に合わせて生産体制が再見直しされています。ボビンにTマークが入れられるようになったことから、T-TopもしくはTバッカーとも呼ばれます。Tマークは、ボビンを組み立てるときに、向きを間違えないようにするために入れられたようですね。
  • 1972年頃-1975年 いわゆる刻印ナンバードP.A.F.。これまでのステッカーに代わり、特許番号が刻印されるようになります。これもT-Top、Tバッカーと呼ばれます。

多少の年代のズレはあるかも知れませんが、大まかにはこんな感じだと思います。
あと、私の見た資料によると、P.A.F.は1975年に生産が終了しています。
1981年になると、レプリカとしてNew P.A.F.(New P.A.F.は日本でのみ通用する呼び名のようで、アメリカでは設計者の名にちなんでTim Shaw P.A.F.と呼ばれます)が登場するのですが、じゃあ75年から81年まではどうしていたんだということになりますよね。

この時期は、ギブソンが工場をカラマズーからナッシュビルに移転させていた時期だということや、1978年頃には特許番号ではなく製造年月日が刻印されるようになったとの情報があることなどから、あくまでも推測ですが、おそらくこの時期は75年までに生産したストック分を使っていて、それがなくなると随時追加で生産していたのかも知れませんね。
ちなみにNew P.A.F.は裏面に特許番号の刻印と、製造年月日(らしい)が黒字でスタンプされています。
90年代には現行モデルの57 ClassicやBurstbuckerも発売され、このあたりがP.A.F.の血統を受け継ぐハムバッカーという事になります。

P.A.F.は、これまでエレキギターの歴史に登場したピックアップの中でも特別な存在です。
特にサンバースト・レス・ポールに搭載されていたタイプのオリジナルP.A.F.になると、三十万円くらいで取引されているようですね。
ピックアップに三十万か・・・私には買えないなぁ・・・。

次回は、現行のギブソン製ピックアップについて書いてみたいと思います!

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