楽器なのに美術品でもあるエレキギター(ゼマイティス編:その1)

創業者は家具職人

ゼマイティス(Zemaitis)は、家具職人であったトニー・ゼマイティス氏が1955年からイギリスで始めたギター工房が、その起源になります。
当時は、自分でギターを購入する経済的余裕もなかったため、友人が所有するクラシックギターを参考にして、見よう見まねで製作に取り組み、相当に苦労して第一号のギターを作り上げたようですね。
なお、ブランド名の呼び方については、ゼマティスと呼ばれることも多くあり、その呼び方も間違ってはいないのですが、神田商会が運営する公式ホームページでは「ゼマイティス」という表記になっているので、ここではゼマイティスと呼ぶことにします。

当初は年間でわずか数本の生産

ゼマイティスのギターは、トニー氏が現役のころは、原則的に全て彼一人で作り上げており、完全に個人工房のブランドでした。
しかし、トニー氏が作ったギターは、芸術品のような美しさと極上のサウンドを兼ね備えた、究極とも言えるギターであった為に非常に人気が高く、個人工房でありながら世界的にも有名なギターブランドへと成長していきました。

ギターの売れ行きが好調になれば、普通はもっと売る数を増やして儲けようと考えるものですが、トニー氏はあくまでも彼自身によるハンドメイドにこだわりを持っていたため、一年間で生産できるギターの本数は非常に少なく、わずか数本程度あったようです。
従って、トニー氏が作ったオリジナル・ゼマイティスは、極めてレア度が高く、現在では非常に高いプレミアが付いています。

神田商会との交渉中にトニー氏は死去

世界的に高い評価を獲得したゼマイティスでしたが、流通量が極めて少なく、需要に対して供給が全く追いつかないのが問題点。
そこに、日本の神田商会が着目します。
神田商会は、ゼマイティスの精巧なコピーモデル作っていたグレコを傘下に持っていため、技術的な下地があったのです。
ゼマイティスのような、技術レベルが高く製造コストもかかるギターが、果たしてビジネスとして成り立つのか、神田商会としてもリスクを抱えたチャレンジだったと思いますが、良質の楽器を広く普及させることは、楽器商社として意義のあることだと判断したのでしょう。
かくして、世間にゼマイティスのギターを幅広く流通させるために神田商会は交渉を始めるのですが、なんとその矢先に肝心のトニー氏が突然病死してしまいます。

流通拡大どころか、一転して存亡の危機を迎えたゼマイティスですが、その後も神田商会がトニー氏の遺族と交渉を重ねた結果、全てオリジナルと同様にハンドメイドで製作することを条件に、公式にライセンス契約を結び、ブランドを再興させることに成功します。
現在のゼマイティスは、オリジナル・ゼマイティスの製作にも関わったダニー・オブライエン氏らの監修のもと、熟達した職人の手によって作り上げられており、以前と変わらぬ品質の高さを誇っています。

ゼマイティスの主なラインナップ

ゼマイティスのギターの特徴は、何と言ってもやはりそのルックス。
その高級感あふれる製品ラインナップを、代表的なものを中心にご紹介しましょう。

・メタルフロント

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ZEMAITIS CS24MF メタルフロント カスタムショップ METAL FRONT

ゼマイティスを象徴するシリーズの一つである、メタルフロント。
これは、レス・ポールをベースにしたシェイプのギターで、ボディ表面に金属製のプレートを張り付けてあります。
このプレートには美しい彫刻模様が刻まれており、まるで西洋の甲冑のような趣を醸し出していると同時に、このプレートがあることによりノイズが抑制され、サウンド面にも良い効果をもたらしています。
メタルフロントは、最上位グレードのカスタムショップ、中位グレードのアンタナス、廉価グレードのカシミアの3グレードが生産されています。

・パールフロント

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ZEMAITIS / Custom Shop Pearl Front Series CS24PF RING

パールフロントいうシリーズでは、レス・ポールタイプのボディトップに白蝶貝、黄蝶貝、アバロン貝などを張り付けて美しい模様を描き出しており、もはや楽器と言うよりも美術品と呼んだ方がふさわしい佇まい。
これを最初に作ったトニー氏はスゴイ。
そして、これを復刻させる神田商会もスゴイ。
パールフロントは、2016年4月現在で、最上位グレードであるカスタムショップ・シリーズのみが生産されているようです。

・ディスクフロント

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ZEMAITIS / Antanus Disc Front Series A24DF 2H BUCCANEER ISLAND

テレキャスタータイプのディスクフロントシリーズには、円盤状の金属プレートが装着されており、これもまたメタルフロントと同様に美しい彫刻が刻まれています。
見た目以外にも、メタルフロント同様に金属プレートによるアース効果で、ノイズを抑えたサウンドになっているのも特徴です。
ディスクフロントシリーズは、カスタムショップ製と中位グレードのアンタナスが生産されています。

・スーペリア

ZEMAITIS ( ゼマティス ) / C24SU BLACK PEARL DIAMOND

ZEMAITIS ( ゼマティス ) / C24SU BLACK PEARL DIAMOND

レス・ポール系のボディシェイプで、ボディトップが全面装飾になっているメタルフロントやパールフロントに比べて、部分的な装飾に抑えてあるのがスーペリアシリーズです。
抑えてあるとは言っても、あくまで装飾が全面ではないだけで、決して地味なわけではありません。
むしろ、無地の部分があることで、より装飾が引き立っていますね。
布袋寅泰氏が使用している”ZEMAITIS WILD”も、このタイプです。
スーペリアは、最上位グレードのカスタムショップ、中位グレードのアンタナス、廉価グレードのカシミアの3グレードすべてで生産されています。

・Z

ZEMAITIS ( ゼマティス ) / Z24WF ROSE NAT

ZEMAITIS ( ゼマティス ) / Z24WF ROSE NAT

華美なルックスのギターがズラリと並ぶゼマイティス製ギターの中で、唯一の普通のギター。(笑)
普通とは言っても、他ブランド品と比較すれば、やはり華美。
地味(?)ながらも、ゼマイティスらしさも併せ持っているギターですね。
ゼマイティスは高価であることでも有名ですが、Zは庶民でも手が届く価格設定になっています。

(その2)へ続きます!

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