アンプのキャビネットはギターサウンドの要(その1)

キャビネットの重要性

ライブ会場でのエレキギターの音というのは、ギター本体、エフェクター類にアンプとキャビネット、そしてそれらを繋ぐシールド類によって決定されます。
ギターの音なのですから、ギター本体の音の良さにこだわりたいというのは当然のことでしょうけど、実際のところ一番音に与える影響が大きいのは一体どの部分なのか?
特にエレキギターを始めて日が浅い方にとっては、知っておきたい点ですよね。

一般に、ギターサウンドを左右する最も大きなファクターはアンプ、それもスピーカーを搭載しているキャビネットの部分だと言われています。
ギターの音は、まずギター本体から出た音をシールドを経由してエフェクターで加工し、再びシールドを経由してアンプで増幅され、最後にキャビネットのスピーカーから出る、という流れになります。
つまり、キャビネットはギターの音の最終的な出口であり、その出口部分がしっかりしていないと、それ以前の部分でいくらいい音を作ってもダメという事なんです。
一説には、主要なファクターであるギター本体とアンプとキャビネットの3つで音を考えた場合、音に与える影響の割合はギター本体10%、アンプ40%、キャビネット50%とも言われているほどです。

現物は持っていなくても知識は持っておこう

キャビネットは大音量で演奏することを目的としているものですので、重量もあってサイズも大きいことがネックとなります。
自宅で大音量を出せる人は日本の場合かなり限られているでしょうし、運搬するのに手間も費用もかかるものですので、ある程度本格的にバンド活動をする人か、経済的に余裕のある人でないとなかなか購入には踏み切りにくい、というのが実状でしょう。
いくつかの条件をクリアしないと、自前でハイパワーのヘッドアンプ+キャビネットを運用することが難しいのは事実ですが、それでもいい音を出すにはどういうものを選べばいいのか、そのためにはどんなことを知っておけばいいのか、という姿勢を持つことは決してマイナスにはなりません。
ということで、今現在キャビネットの購入を考えている方はもちろん、将来的に購入しようと思っている方や、レンタルの機材を選ぶ際のポイントを知りたい方なども、この記事を参考にしていただけると筆者としては幸いと考えています。

キャビネットの種類

キャビネットは、音を出すスピーカーユニットと、それを収める木枠とで構成されており、構造的に木枠の後面を密閉した密閉型、それとは逆にオープンにした後面開放型、密閉型の木枠に穴を開けたバスレフ型の3種類に分けられます。

密閉型(クローズドバック)

MARSHALL ( マーシャル ) / 1960A
MARSHALL ( マーシャル ) / 1960A

大型のキャビネットに多く採用されているのが密閉型。
文字通り、密閉された箱にスピーカーユニットを取り付けたものになります。
スピーカーというものは、振動板が振動することで音が出るようになっているのですが、この時、振動板の前面から出る音と背面から出る音は、逆位相になるという性質を持っています。
スピーカー背面から出た逆位相の音は、前面の音を打ち消してしまうため、それを防ぐために箱を密閉してあるのです。
一般に、内部に吸音材が貼られているものが多くを占めます。
音が打ち消し合う効果は中低音域ほど顕著に出ますので、打ち消されない密閉型はしっかりと低音が鳴るキャビネットという事になりますね。
また、密閉してあることでスピーカーが振動した時に内部の空気がクッションの役目を果たすことから、大音量を出してもスピーカーが壊れにくく長寿命になるというメリットもあります。
密閉型の代表的なものとしては、マーシャルの1960シリーズなどが有名。

後面開放型(オープンバック)

FENDER ( フェンダー ) / '65 TWINREVERB
FENDER ( フェンダー ) / ’65 TWINREVERB

後面開放型はアンプとキャビネットが一体になったコンボアンプに採用されているケースが多いですね。
密閉型のように逆位相の音を抑えていない為、音が打ち消し合う現象が発生します。
打ち消しの効果は低音になるほど大きいので、高音が強い抜けの良いサウンドがオープンバックの特徴になります。
コンボアンプにオープンバックが多いのは、恐らく内部の電気回路の放熱対策がその主な理由と思われますが、箱が密閉されていないので密閉型のような空気のクッション効果はありません。
しかし、クッション効果がないことのメリットもあるのです。
空気のクッション効果がある密閉型の場合、スピーカーの寿命が延びる反面、スピーカーの振動が吸収されてしまうということもあるので、大音量でないとなかなかスピーカーの真の性能を発揮しにくいという面があるのです。
逆に言えば、クッション効果がないオープンバックは、それほどの大音量でなくてもスピーカーの性能を引き出せると言えます。
まあ、クッション効果がないのでスピーカーの寿命は短くなるという点は否定できませんけども・・・。
代表選手は、フェンダーのTwin ReverbやローランドのJC120、VOXのAC30など。

バスレフ型(位相反転型)

HARTKE ( ハートキー ) / 410XL
HARTKE ( ハートキー ) / 410XL

バスレフ型は密閉型のスピーカーボックスに、バスレフポートというダクト状になった穴を開けて、そこから低音部分を出力する構造を持っています。
スピーカーから出力される音と合わせて、キャビネット全体としては低音域の強いサウンドになるので、ベース用のキャビネットとして使用されることが多くなっています。
多少ややこしいですが、原理をできるだけ簡単に説明すると、まずスピーカーの背面から出る音が前面とは逆位相になるという事は上に書きました。
ダクト状になった穴をスピーカーボックスに作ると、スピーカー背面から出たを音がダクトによって共鳴し、さらに位相が反転して正相として出力されるのです。
これは、ヘルムホルツ共鳴と呼ばれる現象で、身近な例では、ビール瓶の口に息を吹きかけると「ボー」と音が鳴るのがそれに該当します。
箱の大きさ、穴のサイズ、ダクトの長さによって共鳴する周波数をコントロールすることができ(瓶の大きさが変われば「ボー」という音の高さが変わりますよね。)、バスレフ型は低音域が共鳴するように設計されています。
またこの共鳴は、箱の中の空気がバネのような働きをすることで位相が反転します。
おもりをつけたバネを手で持ってぶら下げ、それを上下に振ることを想像してみましょう。
この場合、手の動きがスピーカーの振動、バネが箱の中の空気、おもりの動きがダクト内の空気の振動に相当します。
おもりの上下運動が最も大きくなるのは、手が一番上に来た時にバネが一番伸びておもりが下がり、手を下ろしたときにバネが最も縮んでおもりが高い位置に来るような周期で手を動かしたときで、この状態が共振(共鳴)となるのです。
手の動きとおもりの動きの向きが反対になる=音の位相が反転する、ということになるんですね。
この方式を採用した代表的なキャビネットとしては、HARTKE(ハートキー)の410XLが挙げられます。

さて、キャビネットに関してのお話はまだまだ続きますが、今回は少し長くなってきたのでこの辺で。
続きは、次回!

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