前回から引き続いて、今回もテレキャスター・デラックスとテレキャスター・カスタムについての話題です。
前回はこの2モデルと通常のテレキャスターとの違いを中心に書きましたが、今回はそれを踏まえて現行ラインナップの仕様を見ていきたいと思います。
テレキャスター・デラックスの現行ラインナップ
2017年時点でのテレキャスター・デラックスは、以下の4機種がラインナップされています。
・Classic Series ’72 Telecaster Deluxe
・Chris Shiflett Telecaster Deluxe
・American Professional Telecaster Deluxe ShawBucker
・Vintage Modified Telecaster Deluxe(Squier)
Classic Series ’72 Telecaster Deluxe
メキシコ・エンセナーダ工場製のクラシック・シリーズにラインナップされるテレキャスター・デラックスで、基本的にはオリジナルが発売された1972年の仕様を復刻して作られています。
2基のピックアップは復刻モデル用に再設計されており、オリジナルの”Cunife”(クニフェ)が銅(Cu)/ニッケル(Ni)/鉄(Fe)製のポールピース(つまりポールピース自体が磁石)であったのに対し、新設計版ではポールピースの下にアルニコ・バー・マグネットを置く構造に変更されています。
とはいえ、ワイドレンジな音質特性はオリジナルにかなり近づけられています。
使用木材は、アルダーボディ&メイプルネックで、指板も21フレット仕様のメイプル。
ネックジョイント部が3点止め「マイクロチルト」になっている点は、70年代フェンダーらしさがありますね。
ブリッジにストラトっぽいハードテイルタイプが採用されている点や、フレットがミディアムジャンボになっている点もオリジナルと同様。
また、ヘッドストックの形状が一般的なテレキャスターのものではなく、当時のストラトと同様のラージヘッドになっているのも、このモデルの特徴です。
実売価格は10万円強くらい。(2017年7月現在で、フェンダー公式オンラインショップでは税抜11万7千円。)
Chris Shiflett Telecaster Deluxe
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フー・ファイターズのギタリスト、クリス・シフレットのシグネチャーモデルで、メキシコ・エンセナーダ工場製。
基本的には上のClassic Series ’72 Telecaster Deluxeと概ね同仕様ですが、指板にローズウッドが使用され、ピックアップが専用の高出力タイプのものに変更されています。
また、ピックガードには4plyのパールカラーが採用されています。
カラーリング的にClassic Series ’72 Telecaster Deluxeとは対照的になっているのが、面白いですね。
価格的にも結構お買い得な感じで、Classic Series ’72 Telecaster Deluxeと同等か少し安い価格に設定されています。(2017年7月、フェンダー公式オンラインショップ税抜10万4千2百円。)
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American Professional Telecaster Deluxe ShawBucker
現行のレギュラーラインでは最も高級なテレキャスター・デラックスとなるのが、アメプロにラインナップされているモデルで、もちろんアメリカ・コロナ工場製。
Tim Shaw氏によって新たに設計されたShawBuckerハムバッカーを2基搭載し、ヴィンテージさを保ちつつも高出力化に成功しています。
ボディ材はアッシュ、ネックはメイプルで、指板はボディカラーによってメイプルとローズウッドに振り分けられ、テレキャスター・デラックスの特徴であったラージヘッドは、このモデルでは通常のテレキャスター仕様に変更されています。
フレット数22、フレットの仕様はアメプロ独自のナロートールタイプ、ネック形状もアメプロ仕様のDeep C。
ボリュームを絞っても音がこもらないトレブル・ブリード・サーキットを採用するなど、見た目は往年のテレキャスター・デラックスでも、中身はフェンダーの最新コンセプトがふんだんに詰め込まれています。
実売価格は他のアメプロシリーズと同様に20万円程度。(2017年7月、フェンダー公式オンラインショップ税抜18万5千円。)
Vintage Modified Telecaster Deluxe(Squier)
廉価グレードのSquierから発売されているテレキャスター・デラックス。
ボディ材にはバスウッドが使用され、ネックはメイプル、指板もメイプルという構成。
ミディアムジャンボの21フレット、ラージヘッドを採用するなど、廉価版と言えども決して侮れない高い再限度を誇ります。
実売価格は5万円程度で、やはりSquierはコストパフォーマンスが高いですね。(2017年7月、フェンダー公式オンラインショップ税抜4万9千5百円。)
テレキャスター・カスタムの現行ラインナップ
2017年時点でのテレキャスター・カスタムは、以下の2機種がラインナップされています。
・Classic 70s Tele Custom
・Vintage Modified Telecaster Custom(Squier)
Classic 70s Tele Custom
このテレキャスター・カスタムは、Japan Exclusiveシリーズに組み込まれており、日本で生産され、日本でのみ販売されているモデルです。
旧フェンダー・ジャパンに相当すると言えば、わかりやすいかも知れませんね。
アッシュボディ+メイプルネック、メイプル指板(21フレット)など、基本的な仕様は70年代当時をしっかり再現。
ヘッドストックの形状は、オリジナルのカスタムもラージヘッドではなく通常のテレキャスタータイプでしたので、こちらもそれを踏襲しています。
フロントのピックアップはオリジナルとは構造的に異なりますが、それでもやはりワイドレンジなキャラクターは維持。
フロントPUとリアPUのキャラクターが大きく異なるので、使いわけにはちょっと悩みそうですが、一本のギターで多彩な音を出してみたい方にとっては有力な候補となるでしょう。
実売価格は9万円前後。(2017年7月、フェンダー公式オンラインショップ税抜8万4千6百円。)
Vintage Modified Telecaster Custom(Squier)
廉価版Squierのテレキャスター・カスタムは、リアにセイモアダンカン・デザインのPUを採用するなど、なかなかの意欲作。
ボディ材にバスウッドが使われている点が、ジャパン版とは大きく異なる点ですね。
ジャパン版は70年代の仕様を強く意識したヴィンテージ志向であるのに対し、こちらは指板のRを240Rに設定するなど、若干モダンよりにセッティングされています。(ジャパン版は184R)
実売価格は実売価格は5万円程度。(2017年7月フェンダー公式オンラインショップ税抜4万9千5百円。)