エレキギターの基礎知識(PRSカスタム編:その1)

熾烈な争いの三位集団

エレキギターメーカーで最も有名なのは、フェンダーとギブソンの二社であることは誰もが認めるところでしょう。
ですが、それに続く第三のギターメーカーということになると、簡単には名前を挙げられなくなります。
世界で初めて商品化されたエレキギターを発売し、ビートルズのメンバーも愛用したことで有名なリッケンバッカーや、世界一美しいギターと言われるホワイトファルコンをラインナップに持つグレッチなどは、最盛期は二大巨頭に負けないような勢いがありましたが、現在は大きくシェアを落としています。
又、日本のアイバニーズ(※注)やESPなども多くの有名ミュージシャンが使用していますが、ジャンル的にややハードロックやヘヴィメタル系に偏っている感が否めないし、かつてカルロス・サンタナが愛用したSGを製造し、楽器メーカーとして世界最大規模を誇るヤマハでさえも、エレキギター部門に限って言えば、それほど元気があるとは言えない状況でしょう。
つまりエレキギターのシェア争いは、トップを並走するフェンダーとギブソンを、少し離れて三位集団が追いかけるような構図となっているのです。
(※注:厳密にはアイバニーズは、メーカーではなくブランドと言った方が正しいでしょう。アイバニーズは星野楽器が展開するブランドで、日本国内のギター製造はフジゲンが行っています。)

Paul Reed Smith(PRS) ( ポールリードスミス ) / Custom 22 20th Anniv Artist Package VY
Paul Reed Smith(PRS) ( ポールリードスミス ) / Custom 22 20th Anniv Artist Package VY

そんな中、近年幅広いジャンルでシェアを伸ばしてきているのが、ポール・リード・スミス(PRS)です。
アメリカで生まれたPRSは、創業が1985年とまだ若いギターメーカーですが、代表的モデルであるカスタムシリーズを中心に、品質の高い製品を供給していることで知られています。
今回からは、このカスタムシリーズ(主力グレードのCoreモデル)について語っていきますね。

フェンダーとギブソンの中間的なキャラクター

PRSカスタムシリーズは、大きく分けてフレット数が22のカスタム22と、24のカスタム24の二つに分類されますが、ピックアップとフレット数以外はどちらも基本的に同じ仕様となっています。(厳密には、ピックアップの位置やボディ形状に若干の差異があります。)
ギターのキャラクターとしては、フェンダーのストラトキャスターとギブソンのレス・ポールを足して二で割り、さらにそこへオリジナルのエッセンスを加えたようなイメージですね。
ダブルカッタウェイのボディ形状、ピックアップのセレクターが5wayブレードスイッチ、トレモロユニット(フェンダーのシンクロナイズド・トレモロの改良型で、PRSが独自に開発したものです。)を標準装備している点などはストラトキャスターのイメージ。
ハムバッカーを2基搭載し、ボディとネックを接着するセットネック仕様、マホガニーバック+メイプルトップというボディ構造などはレス・ポール的です。
PRSオリジナル要素としては、ネック長がレス・ポールののミディアムスケール(24.75インチ)とストラトのロングスケール(25.5インチ)の中間である25インチを採用しているところや、弦を固定できるロッキング・チューナーを搭載している点などが挙げられます。
あと、指板のポジションマークが、鳥をかたどったバードインレイになっているところも特徴的ですね。

近年は細かく仕様変更を繰り返している

カスタム24に搭載されているピックアップは59/09というハムバッカーで、2011年のモデルから採用されています。
それ以前はHFS(フロント)とヴィンテージ(リア)というピックアップが使用されていたのですが、これが少々アグレッシブなサウンドで、クリーントーンでも歪んでしまうという欠点がありました。
このため、パワフルさは極力維持しつつ問題点を解消した59/09へと変更されています。
さらに30周年を迎えた2015年モデルからは、よりスムーズに伸びる低音域と明瞭かつワイドな高音域が特徴の85/15というピックアップに変更されています。

カスタム22の方はというと、57/08というハムで、59/09よりもヴィンテージに味付けされたサウンドを奏でます。
どうやら、1950年代に使用されていたワイヤリング機の独占使用権を、PRSが取得して開発されたピックアップらしく、現代版P.A.Fとも呼ばれているようですね。
なお、カスタム22も元々はドラゴンIIというピックアップが使われていましたが、2013年~2014年は57/08に、2015年モデルから58/15という澄んだ暖かみのあるミドルレンジが特徴のピックアップに変更され、さらに2017年モデルからはカスタム24と同じ85/15を搭載しています。

Coreモデルは高価

このように、おいしいとこ取りのPRSカスタムですが、一番のネックとなるのがその価格。
フェンダーUSA製のストラト(American Elite)やギブソンのレス・ポール・スタンダードが30万円くらいなのに対し、PRSの主力のCoreモデル:カスタム24は約40万円ほどします。
非常にバランスの取れたギターなので、高い価格もその価値に見合ったものではあるのですが、上級者の方ならいざ知らず、初心者~中級者にはキツイ価格ですよね。
近年登場したS2シリーズ(SEが韓国製廉価ブランドなのに対し、S2は米国製の廉価品となります。)だと、十数万円で手に入りますので、あまりお金をかけられない方にはオススメです。
SEシリーズのカスタムなら10万円以下で手に入りますが、個人的にはヘッドに「SE」って結構大きく書いてあるのが微妙だったりするんですよね・・・。(2017年モデルからはSEの文字が小さくなりました!)
まあ書いてあるからこそ、本家と明確に差別化できるんですけどね。

この続きは(その2)で!

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