火の鳥は決して死なない!(ファイヤーバード編:その1)

ギブソン・ファイヤーバードが登場したのは、フェンダーがジャガーを発売した翌年の1963年のことでした。
当時のギブソンはレス・ポールがSGへと代替わりし、フライングVやエクスプローラーは全く売れずに生産中止という状況で、非常にソリッドギターのラインナップが貧弱でした。
これに対し、ライバルのフェンダーは、定番のテレキャスターやストラトキャスターに加え、ジャズマスターやジャガーなど、多くのラインナップを揃えており、その差は歴然としたものとなっていました。

ギブソン初のスルーネック構造

そこでギブソンがソリッドギター分野にテコ入れするために投入したのが、ファイヤーバードでした。
ギブソン初のスルーネック構造を持つこのギターは、エクスプローラーのボディシェイプをベースに、カーデザイナーであるレイ・ディートリッヒ氏がデザインを担当。
スペックの違いによりI・III・V・VIIの四タイプが存在し、Iはミニ・ハムバッカーが1基搭載されたモデル、IIIはミニ・ハムバッカー2基、VはIIIと同じミニハム×2ですがディッシュ・インレイが施されるなどIIIをグレードアップさせたモデル、VIIはミニハム×3にゴールドパーツ仕様という風に分けられていました。
ちょうどレス・ポールにおけるジュニア・スペシャル・スタンダード・カスタムというグレード分けに相当するものが、このI・III・V・VIIで行われていた形ですね。
ちなみに、姉妹機としてベースにサンダーバードがあり、IIやIVという型番はサンダーバードに対して付けられています。

GIBSON ( ギブソン ) / Firebird V Vintage Sunburst

GIBSON ( ギブソン ) / Firebird V Vintage Sunburst

リバースモデル

当初のファイヤーバードは、既に発売されていたフェンダーのジャズマスター/ジャガーと比べると、ちょうど左右をひっくり返したような形状をしていたため、リバースモデルと呼ばれています。
ヘッドも6連ペグのリバースヘッドで、さすがカーデザイナーの手によるものらしく、その流線形のシェイプは非常にカッコよく仕上がっていますね。

ただ、このファイヤーバードは扱いにくい事でも有名で、リバースボディは座って弾くと右ひじの部分が当たるし、何故か採用されたバンジョータイプのペグが重く(反面、ボディは軽いので)、立って弾くとヘッド落ちしやすいという面もありました。
つまり、立っても座っても弾きにくさがあったのです。

商業的には失敗に

ギブソン的には、フェンダーに対抗しようと相当に気合を入れて作ったギターだったのですが、SGなどに比べて価格が高かったこともあって、結局商業的には失敗という形になります。
でも、ギブソンとしては、ファイヤーバードをそう簡単に諦められない事情もありました。
フライングVやエクスプローラーで失敗を繰り替えしてきた上に、ファイヤーバードまでもコケたとなるとライバルのフェンダーとの差が決定的なものになってしまいかねないのです。
そこでギブソンは1965年、ファイヤーバードに大幅なモデルチェンジを加えます。

大幅な仕様変更

まず、最大の特徴であったスルーネックを、生産性の良いセットネック方式に変更。
さらにリバース形状のボディを、通常のタイプに戻して座った時の弾きにくさを解消しています。(同時にヘッド形状もリバースではなくなっています。)
このため、モデルチェンジ後のファイヤーバードは、当初のリバースモデルに対してノンリバースモデルと呼ばれます。
なお、ボディ形状を変更したのは、ボディに関する特許をフェンダーが取得していたため、フェンダー側からクレームが入ったことも一因であり、実際に二社間で話し合いも行われていたようです。
ただ、1965年にフェンダーがCBSに買収されたことで結局うやむやになったようで、モデルチェンジ後のボディ形状はむしろよりフェンダーライクになっているところから、やはりコストや生産効率の問題の方が大きかったのだろうと言われています。

他にも、重かったペグを通常のクルーソンタイプに変更。
ピックガードも大型化し、I・III・V・VII全てでボディを共通化。
このコストダウンにより、販売価格も抑えることが出来るようになります。

I・III・V・VIIの仕様分けも見直しを行い、IがピックアップをP-90×2搭載、IIIがP-90×3、Vがミニハム×2、VIIがミニハム×3となっています。
ボディが共通ですので、2ピックアップ仕様のものであっても、ボディには3ピックアップ分のザグリが行われています。
こういう省力化は、元々フェンダーが得意とするところであり、そういう姿勢にギブソンは批判的だったのですが、時代の流れというか、やはり生き残るためにはやらざるを得なくなってきたのでしょうね。

(その2)に続く!

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